2012年08月27日

使用人兼務役員の雇用保険加入について



 会社によっては、取締役営業部長、取締役経理部長などといった肩書きの方がいらっしゃると思います。


 法人の役員等は、原則として雇用保険の被保険者にはなりません。


 しかし、同時に部長・支店長・工場長等会社の従業員としての身分も有している(=兼務役員)場合であって、就労実態や給与支払いなどの面からみて労働者的性格が強く、雇用関係が明確に存在している場合に限り、雇用保険の被保険者となることができます。


 「労働者的性格が強い」かどうかを判断するためには、ハローワークに様々な書類を提出したうえで総合的に判断されますので、会社や役員が安易に判断できるわけではありません。


 届け出については、ハローワークに「兼務役員雇用実態証明書」を提出し、労働者性が強いことを確認してもらわなければなりませんが、確認書類として、登記簿謄本、定款、就業規則、給与規定、役員報酬規定、賃金台帳、出勤簿、労働者名簿、人事組織図、取締役会議事録といった書類が必要です。


 確認書類が多いような印象もありますが、兼務役員の雇用保険加入については、一般の労働者の雇用保険資格取得に比べると厳格であり、手続きの日数もかかります。会社の規模や設立時期により、就業規則、給与規定、役員報酬規定、人事組織図がないという会社もあるので、これらはハローワークの職員に理由を申し出て省略できることもありますが、それ以外の書類はほぼ必要となります。(管轄のハローワークによって違う場合もありますので、詳細は事前にお問い合わせしていただくのがよいでしょう)

 
●兼務役員雇用実態証明書(東京労働局)
http://tokyo-hellowork.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0012/0330/koyo022.pdf


 総合的に判断されるということですが、次の2つの要素が大きな判断材料となります。

@役員報酬と賃金とを比べて賃金のほうが多く支払われている場合、役員よりも労働者としての役割、業務負担が大きいと判断される

A他の労働者と同じ取り扱いをされている場合、労働者性が強いと認められる
 具体的には、勤怠管理が他の労働者と同様に管理され、出勤簿、賃金台帳等で勤怠管理をされ、他の労働者と同じように就業規則の適用範囲に含まれている


 雇用保険料の徴収については、対象となる給与は、役員報酬を除いた賃金部分です。


 また、退職時に離職票に記載する賃金や労働保険の年度更新の際に集計する雇用保険料の対象賃金も、役員報酬を除いた賃金部分となります。


 なお、使用人兼務役員の労災保険の扱いについても基本的には雇用保険と同じ考え方です。代表権や業務執行権を持たない使用人兼務役員が役員報酬以外に賃金を受ける場合は、原則として役員報酬を除いた賃金部分について労働者として扱われます。


 業務災害や通勤災害による傷病で休業し、休業(補償)給付を受ける場合、給付額の基礎となるのは役員報酬を除いた賃金部分となります。平均賃金を算出する場合は注意が必要です。労働保険年度更新の際に集計する労災保険料の対象賃金も、役員報酬を除いた賃金部分となります。




 使用人兼務役員が健康保険・厚生年金保険に加入する場合、基本的な手続きは一般の労働者と同じですが、報酬月額は、役員報酬と賃金を区別せず合算した金額になりますので注意が必要です。



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2012年04月09日

初めて人を雇った時にしなけらばならない労働保険、社会保険の手続き


 先日、ある士業の先生から、「初めて人を雇ったのだけれど、その際にしなけらばならないことを教えてください…」というメールが来ました。

 新しく正社員やパートタイマーを雇った場合、税務署へ「給与支払事務所等の開設届出書」を提出したりもしますが、労働保険、社会保険の分野において、人を雇ったらしなければならない手続きについては、以下の通りです。

 細かい要件や特殊なケースもあるでしょうが、ここではごく一般的なことについて記載します。


位置情報労働基準監督署へ「保険関係成立届」と「保険料申告書」の提出

 一人でも労働者を雇ったら、パートタイマーであっても労働者災害補償保険(労災保険)の手続きが必要です。

 労働保険料は年度ごとに支払うことになりますが、労働者に支払う賃金総額に保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて得た額をまず概算で支払います。

 そのうち、労災保険料は全額事業主負担、雇用保険料は、事業主と労働者双方で負担することになっています。

 労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し翌年度に確定申告のうえ精算することになっています。これを「年度更新」といい、原則として例年6月1日から7月10日までの間にこの手続を行っています。石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金も、年度更新の際に労働保険料と併せて申告・納付することとなっています。



位置情報ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出 

 適用事業に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります。

 ただし、65歳に達した日以後に新たに雇用される者など雇用保険法第6条に掲げる方は雇用保険の適用除外とされています。

 パートタイマーでも、31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であり、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、雇用保険の加入手続が必要です。

 雇用保険料の労働者負担分は毎月の給与から引き落としします。

※労災保険料率、雇用保険料率は、業種によって違います。また、年度ごとに変更になる場合もあります。


位置情報会社が法人であれば、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の適用があります。個人事業の場合、対象労働者を5人以上雇用する場合は強制適用となり、社会保険の手続きが必要です。対象労働者が5人未満の場合は、任意適用となります。
 
 加入の対象となるのは、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の労働日数が、通常の労働者のおおむね4分の3以上の人)が被保険者となります。

こちらは
 ●日々雇い入れられる人(1ヶ月を超えて引き続き使用される人は被保険者となる)
 ●2ヶ月以内の期間を定めて使用される人(所定の期間を超えて引き続き使用される人は被保険者となる)
 ●季節的事業(4か月以内)に使用される人(当初から4か月を超えて使用される人は初めから被保険者となる)
 ●臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される人(当初から6か月を超えて使用される人は初めから被保険者となる)
は適用除外として除かれます。


 事業所の届け出と被保険者(扶養がいる場合あり)の届け出先は、年金事務所です。

 健康保険だけ、厚生年金保険にだけ加入ということは出来ず、両方セットとなります。

 保険料は事業主と被保険者との折半負担となります。

 労働者の給与の額によって標準報酬のランクがあり、標準報酬月額に保険料率を乗じて算出します。また、介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)は、介護保険料が徴収されます。

 厚生年金保険の料率は全国一律ですが、健康保険の料率は都道府県ごとに定められています。

 また、業界や企業によっては、健康保険組合や厚生年金基金があります。

 役所への届け出は労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所への届け出が主なものとなります。


 なお、労働者とはきちんと書面で雇用契約書あるいは雇入通知書を交わしておくべきです。



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2009年08月02日

雇用保険の基本手当の日額等の変更について


 8月1日から、雇用保険の給付額を算定するための基礎となる賃金日額の範囲等が、変更されています。(すでに6月25日に発表されています)

 雇用保険の基本手当の日額の算定基礎となる賃金日額の範囲等については、雇用保険法の規定に基づき、毎月勤労統計の平均定期給与額の上昇又は低下した比率に応じて、毎年8月1日に自動的に変更されています。

 毎月勤労統計の平成20年度の平均給与額(同年度の各月における平均定期給与額の平均額)が、平成19年度の平均給与額と比べて約0.6%低下したため、以下の3点について、8月1日から適用されることとなりました。

(1)  賃金日額の最低額及び最高額等の引下げ
 (例 45歳以上60歳未満の者の賃金日額の上限:15,460円→15,370円)
 (※ これに伴い、45歳以上60歳未満の者の基本手当日額の最高額は、7,730円 → 7,685円となります)


 ◆基本手当の日額の最高額および最低額
  受給資格に係る離職の日における年齢に応じて、次のとおりです。

                        現行    変更後
最高額  @ 60歳以上65歳未満 6,741円 → 6,700円
      A 45歳以上60歳未満 7,730円 → 7,685円
      B 30歳以上45歳未満 7,030円 → 6,990円
      C 30歳未満        6,330円 → 6,290円
最低額                  1,648円 → 1,640円


(2) 失業期間中に自己の労働による収入を得た場合の基本手当の減額に係る控除額の引下げ
    1,334円 → 1,326円 


(3) 高年齢雇用継続給付の支給対象となる労働者の賃金限度額(支給限度額)の引下げ
    337,343円 → 335,316円 


※ 支給対象月に支払われた賃金の額が支給限度額以上であるときは、高年齢雇用継続給付は支給されません。
※ 支給対象月に支払われた賃金の額と高年齢雇用継続給付との合計額とが支給限度度額を超えるときは、(支給限度額)−(支給対象月に支払われた賃金の額)が高年齢雇用継続給付の支給額となります。

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2009年04月01日

改正雇用保険法成立


 現下の厳しい雇用失業情勢を踏まえ、非正規労働者に対するセーフティネット機能及び離職者に対する再就職支援機能の強化という趣旨から、法改正が行われています。

 当初、施行日は一部を除き「4月1日」と予定されていましたが、年度内に離職者が多く発生するため、「3月31日」とされました。

 今回の雇用保険法の改正についてまとめてみると、以下の通りとなります。(平成21年3月31日施行分)

1 雇用保険の適用範囲の拡大
 雇用保険の適用基準である「1年以上の雇用見込み」を「6箇月以上」に緩和し、適用範囲を拡大。

2 労働契約が更新されなかったため離職した有期契約労働者について
 @ 受給資格要件を緩和: 被保険者期間12か月→6か月(解雇等の離職者と同様の扱い)
 A 給付日数を解雇等による離職者並に充実(3年間の暫定措置)

3 再就職が困難な場合の支援の強化
 解雇や労働契約が更新されなかったことによる離職者について、年齢や地域を踏まえ、特に再就職が困難な場合に給付日数を60日分延長(例えば所定給付日数が90日の場合→150日)

4 安定した再就職へのインセンティブ強化(3年間の暫定措置)
 @ 早期に再就職した場合に支給される「再就職手当」の支給要件緩和・給付率の引上げ(給付率について、30%→40%又は50%)
 A 就職困難者(障害者等)が安定した職業に就いた場合に支給される「常用就職支度手当」について対象範囲を拡大(年長フリーター層を追加)・給付率の引上げ(30%→40%)

5 雇用保険料率の引下げ
 失業等給付に係る雇用保険料率(労使折半)を平成21年度に限り、0.4%引下げ(1.2%→0.8%)

 なお上記の改正により、雇用保険率は、次のとおりとなります。

<平成21年4月からの雇用保険料率> 

一般の事業 : 保険料率 11.0/1000 (事業主 7.0/1000 被保険者 4.0/1000)
農林水産・清酒製造事業 : 保険料率 13.0/1000 (事業主 8.0/1000 被保険者5.0/1000)
建設の事業 : 保険料率 14.0/1000 (事業主 9.0/1000 被保険者 5.0/1000)



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2009年03月25日

変わります!平成21年度労働保険の年度更新


 前にも記事にしたかもしれませんが、労働保険(労災保険・雇用保険)の年度更新の申告の時期が変わります。


 これまでは5月20日まででした。


 平成21年度から6月1日から7月10日までとなります。


 申告書は5月末に発送される予定です。


 労働保険料の算定方法はこれまでと変わらず、4月1日から翌年3月31日までに支払う賃金総額に、保険料率を乗じて得た額となります。


 なお、平成21年4月1日から労災保険料率等が改定されるため、平成21年度の労災保険料の概算保険料の申告から、労災保険率が変更となります。
(平成20年度の確定保険料は、旧労災保険率によっての申告となります。)


 労災保険料率は、事業の種類によって違いますが、今回の改定はかなりの業種で料率が改定されていますので、申告はまだ先ですが注意が必要です。



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2008年08月23日

平成20年度第2期分労働保険料の納付書発送の遅れと納期限延長


 労働保険料の概算保険料の納付について、延納(分割納付)を選択した場合、本来の納期限は
 1期 5月20日まで
 2期 8月31日まで(本年度は8月31日が日曜日のため、9月1日まで)
 3期 11月30日まで
となっています。

 例年ですと、労働保険料の2期分の納付書は8月中旬に届くのですが、厚生労働省の作業の遅れで、本年度は9月中旬に届く予定となったようです。

 これに伴い、特例措置で本年度に限り、第2期分の労働保険料の納期限は9月30日までに延長されます。


 【厚生労働省発表】
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/08/h0820-4.html


 労働保険事務組合については、納期限の変更はなく、これまでと変わらないようです。




       最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。

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2007年05月01日

平成19年度の労働保険年度更新の申告・納付期限延長について


 例年ですと、4月1日前後に労働保険年度更新の申告用紙が事業所に送付されます。しかし本年度については、雇用保険料率の改定について、国会での成立が遅れたため、申告用紙の送付が4月下旬と遅くなりました。このため、本年度は納付期限の5月20日から6月11日(月)までに延長されることになりました。
なお、改定後の雇用保険料率については、平成19年4月1日に遡って適用されます。

  改定後(平成19年度概算保険料)改定前(平成18年度確定保険料)
事業の種類保険料率事業主負担率被保険者負担率保険料率事業主負担率被保険者負担率
一般の事業15/10009/10006/100019.5/100011.5/10008/1000
建設の事業18/100011/10007/100022.5/100013.5/10009/1000
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2007年04月02日

平成19年度の労働保険年度更新について


 平成19年度の労働保険の年度更新は、4月1日から5月21日までとなっています。
 なお、今年度については下記のように変更されます(される予定です)が、雇用保険料率の改定等、国会で審議中であり、未だ正式に決定されておりません。
 年度更新の申告書(概算・確定保険料・一般拠出金申告書)は例年4月1日頃に事業所宛に送付されてくるのですが、遅れているようです。改定はほぼ間違いないので、下記に変更点について記しておきます。

【今年度の変更点】

●雇用保険の料率が下がりました。
 平成19年4月1日から、以下のとおり雇用保険率が改定されます。年度更新にあたっては、平成18年度の確定保険料は旧料率、平成19年の概算保険料は新料率を使用します。

<雇用保険料率表>

改定後(平成19年度概算保険料)改定前(平成18年度確定保険料)
事業の種類保険料率事業主負担率被保険者負担率保険料率事業主負担率被保険者負担率
一般の事業15/10009/10006/100019.5/100011.5/10008/1000
建設の事業18/100011/10007/100022.5/100013.5/10009/1000

※4月以降の給与計算の際、雇用保険料の控除にご注意ください。


●石綿(アスベスト)健康被害救済のための「一般拠出金」の申告・納付がはじまります。「一般拠出金」とは、「石綿による健康被害の救済に関する法律」により、石綿(アスベスト)健康被害者の救済費用に充てるため、事業主の皆様に負担していただくものです。

    <対象事業主>…労災保険適用事業場の全事業主
    <納付方法>…労働保険料と併せて申告・納付
    <料率>…業種を問わず、一律1000分の0.05


 改正が正式に確定しましたら、お知らせします。

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