昨日(27日)の新聞では、栃木と福岡で過労自殺の労災認定の記事がありました。1件は主として長時間労働、1件は主として仕事上のストレスが原因とされています。
過労死は日本特有の現象とも言われています。過労によって、脳血管、心臓疾患に罹患し、それが原因で死に至ることが想定されています。
過労自殺の多くは、仕事の失敗や過大な責任の発生、それに伴う過重な長時間労働などによる仕事上のストレスを原因にしたものです。
当初は過労自殺が労災認定されるということはほとんどありませんでした。自殺という本人の行為が介在しており、これは過労が原因ではなく、本人の選択であるとも考えられていました。
しかしケースバイケースですが、近年は、過労が原因で労働者が自殺した場合、それが労働災害と認定されるケースが多くなっています。また、会社にも過労を引き起こした責任や長時間労働の予防や配慮を怠った責任が問われるケースも増えています。
平成3年に電通の社員が過重な業務による慢性的な長時間労働が原因で自殺した「電通過労自殺事件」(平成12年3月24日最高裁判決)によって過労自殺の企業責任が認められたことをきっかけに、こうした事案の労災認定にあたっては、「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(平成11年9月策定)が定められ、これによって業務上外の判断が行われます。
長時間労働、あるいは仕事のストレスというのは至る所にあるケースであり、注意しなければならないのは、自殺に至っていなくても、精神的に疲れきっている労働者が数多く存在しているということです。
会社はそうした問題を予防しなければなりません。長時間労働を削減し、労務管理をきちんとし、労働者の疲労や心理的負荷が過度に蓄積して心身の健康を損なうことのないよう安全配慮義務を負っています。
| 【記事】 <過労自殺>男性外科医に労災認定 栃木・鹿沼労基署 栃木県鹿沼労働基準監督署は、同県内の病院に勤務していた男性外科医(当時38歳)の自殺は長時間労働などの過労が原因だとして労災に認定した。 外科医の代理人の川人博弁護士によると、男性は02年5月に埼玉県の病院から栃木県の病院に転勤になった。同月21日に医療事故を起こし、6月14日に高架道路から飛び降り自殺した。鹿沼労基署は、埼玉の病院で恒常的に長時間労働をしていたことや転勤、医療事故などの負担、栃木の病院での支援不足などを理由に労災と認定した。 男性は月数回の当直勤務に加え、休日出勤などで1カ月に80時間を超える時間外労働をしていたという。男性の父親は「夕飯を食べながら居眠りするほど疲れていた。医療の世界が厳しいのは分かるが、死者があってはいけない」と話した。また、川人弁護士は「医師不足が当直の増加や長時間労働を生みだしている。医師不足を解消しなければ過労死を防げない」と訴えた。 (3月27日 毎日新聞) |
| 【記事】 粕屋農協職員「過重な業務で自殺」 労災不認定取り消し 福岡地裁判決 粕屋農協(福岡県粕屋町)の職員男性=当時(45)=が1999年に自殺したのは仕事のストレスが原因として、男性の妻が労災認定しなかった福岡東労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決が26日、福岡地裁であった。木村元昭裁判長は「社会通念上、自殺するほど過重な心理的負荷を与える業務だった」と業務と自殺との因果関係を認め、同労基署の処分を取り消した。 判決によると、男性は89年に粕屋農協に正規採用され、主に給油業務に従事。99年、金融共済課に配属されたが、金融知識について十分な研修もないまま、年間3億3500万円の長期共済の勧誘をノルマとして課せられた。同年5月にうつ病を発症、2カ月後の7月に自殺した。 同労基署は2003年1月、労災を認めず、遺族補償年金の不支給を決定。妻は不服審査請求したが、同年9月に福岡労働者災害補償保険審査官、06年1月に労働保険審査会に棄却された。 同労基署は「関係機関と協議して対応を検討したい」としている。 (3月27日 西日本新聞) |




