2011年06月03日

震災口実の解雇不当と提訴、仙台 ビルメンテ元女性社員


 東日本大震災と福島第1原発事故で、岩手、宮城、福島の東北3県では、多くの人が仕事を失い、非被災地でも風評被害の影響などもあり、「震災解雇」や賃下げが広がっています。

 厚生労働省の「被災による雇用状況」(速報値)によると、5月22日の時点で、震災以降に雇用保険受給の手続きを取った人は、3県合計で11万1573人にも上っており、職業相談件数も延べ30万件を突破しています。

 「東日本大震災による経営環境の悪化を口実に解雇された」ということで、トラブルも増えています。

 解雇にもルールがあります。

 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」

 最高裁判所判例として確立されている解雇権濫用法理が2004年1月1日より労働基準法旧第18条の2として追加施行されていましたが、2008年3月1日に削除され、2008年3月1日から施行されている労働契約法の第16条に同文が規定されました。

 会社の経営不振等を理由とする労働者の「整理解雇」については、裁判例において、いわゆる「整理解雇の四要件」が示されており、原則として四要件すべてを満たす必要があります。

@経営上の必要性(人員削減の必要性)
 倒産寸前に追い込まれているなど、整理解雇をしなければならないほどの経営上の必要性が客観的に認められること

A解雇回避の努力
 配置転換、出向、希望退職の募集、賃金の引下げその他整理解雇を回避するために、会社が最大限の努力を尽くした事したこと

B解雇対象の人選の妥当性
 勤続年数や年齢など解雇の対象者が選定する基準が合理的で、かつ、基準に沿った運用が行われていること

C解雇手続きの妥当性(労使間での協議)
 整理解雇の必要性やその時期、方法、規模、人選の基準などについて、労働者側と十分に協議をし、納得を得るための努力を尽くしていること



 しかし実際にはこれは机上の論理となってしまい、解雇をする場合に、こうしたことが無視され、トラブルとなります。経営側も、経済の長期低迷やデフレ、買い控えや自粛ムードの影響で業績が低迷しているのですから、リストラの流れも当然といえば当然です。

 また、日本は解雇に関する規制が厳し過ぎるという意見も多くあることも事実であり、整理解雇の四要件は、一応の定着はあるものの、全ての要素を備えるべきかは、なお議論の余地も残されていることも事実です。

 
 とはいえ、下の記事のケースで、いわゆる整理解雇の四要件に照らし合わせると、「会社は多くの仕事現場を抱えているのに、なぜ自分が解雇されなければならないのか、役員報酬の見直しなどの解雇回避の努力していないじゃないか…」ということになるでしょう。

 労使のトラブルは人対人。感情も入りこみますし、数字などではスパッと割り切れないことが多くあり、簡単には解決できません。

【記事】

 震災口実の解雇不当と提訴、仙台 ビルメンテ元女性社員

 東日本大震災による経営環境の悪化を口実に解雇されたのは不当として、仙台市青葉区のビルメンテナンス会社「東北ダイケン」の元社員の女性(59)=同市太白区=が2日、同社に慰謝料や賃金など約720万円の支払いを求めて仙台地裁に提訴した。

 訴状によると、女性は5月10日、震災で経営環境が厳しくなったとの理由が記された退職勧奨通知を受けた。その後の解雇通知書でも「解約が相次いだため人員削減が必要」として、同31日で解雇された。

 しかし、同社は多くの仕事現場を抱えており、役員報酬の見直しなど解雇者を出さない努力をしていないと主張している。

   (6月2日 共同通信)


posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 00:00| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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