2009年10月08日

フランス・テレコム、リストラで自殺者が1年半で24人


 かつて国営の独占企業だったフランス・テレコム(France Telecom)が、民営化後の急激な組織改編や労働環境の急変により、1年半で自殺者が24人も出ており、フランス社会に衝撃を広げているというニュースです。



 規制緩和による競争にさらされ、大規模な組織の再編成を余儀なくされたことにより、従業員の間でストレスがまん延している様子がうかがえます。

 自殺者の大部分が職場で自殺というのはショッキングなことです。 

 ”フランス全体の自殺率からすると10万人の従業員を抱えるフランステレコム社員の自殺が極端に多いとはいえない”という評論もありますが、やはりこうして大きなニュースになるのということは、異常な状態というか、職場のストレスと自殺の因果関係が大きいことを示していると思います。

 リストラ自殺を増加させているのは、企業からリストラされた労働者はもちろんですが、企業に残ったとしても強いストレスにさらされている人が増えているという状況を示しています。


 さて、現在、日本で自殺する人の数は年間3万人を超えています。1日あたり90人近くが自殺、未遂者も含めれば1日1000人を数えるといわれており、大きな社会問題となっています。

 日本に特徴的なのは、経済状況の悪化、失業率の増加が自殺率の上昇とリンクしているということです。

 日本で自殺問題が深刻化したのは、金融危機で失業率や倒産件数が跳ね上がった1997年〜1998年頃からです。しかし、その後景気が回復し、失業率も一時低下したにもかかわらず、自殺者数は減少していません。

 また、社会の担い手である中高年男性や自営業者の自殺が多いことも特徴といえます。昨年来の不況は、自殺率の上昇リスクをさらに高めています。


ひらめき警視庁 平成20年中における自殺の概要資料、総務省労働力調査


 警視庁の調査によると、昨年1年間で自殺した人は、3万2249人にのぼり、その動機として「うつ病」が2年連続で最多となっています。

 自殺の動機・原因が特定できたもののうち「うつ病」を原因とした人が27.6%で最も多く、続いて「身体の病気」が21.8%、「多重債務」が7.4%と続いています。

 年齢別では、心理的や社会的にも負担の大きい中高年層が最も多く、50代が最多で6363人ですが、若年層の自殺者も増えており、特に30代は4850人で過去最多となっています。

 内閣府が発表した平成20年版の「自殺対策白書」では、基本認識として、「自殺者の多くは、自殺の直前にうつ病等の精神疾患に罹患」するとしています。

 職場におけるメンタルヘルスケアを改善すること、うつ病の早期発見・早期治療の取り組みが重要であることをうかがわせます。

【記事】

 仏テレコム:リストラで自殺者急増、担当重役が引責辞任

 フランス最大手の電話会社「フランス・テレコム」(社員約10万人)で、過去20カ月の間に組織改編に伴うリストラなどを理由に24人の自殺者が出たため、同社の組織改編の担当重役(60)が5日、引責辞任した。最近でも顧客サービスの電話センターに異動した男性社員(51)が高速道路の陸橋から「仕事の重圧」を理由とする遺書を残して投身自殺したほか、降格を知って会議中に腹に刃物を刺して自殺を図る男性社員(49)も出ていた。

 担当重役は06年に就任。「近代化のためには手段を選ばない恐怖政治を行う」(同社労組幹部)とされていた。これに加え最近、別の同社幹部が、社員が休暇で遊ぶことだけに執心すると批判。「日常業務だけで慢心すべきではない」と指摘していた。

 仏の報道機関によると、国内の自殺率(06年は10万人当たり16人)に比べると同社の割合はやや下回るが、自殺者の大部分が職場で自殺したり、労働環境の急変を嘆く遺書を残しており、仏社会に衝撃を広げている。

 国営だった同社は90年代後半以降に民営化を進め、組織の近代化を急いでいた。だが、相次ぐ自殺に同社はカウンセリングの開始や一時的な人事凍結を提案。一方で労組側はストで対抗するほか、議会の調査を求めるなど政治問題化していた。同社株の27%は仏政府が保有している。

   (毎日新聞 2009年10月6日) 




posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 12:29| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。