2008年10月18日

社会保険事務所が健保資格喪失で隠蔽工作…元職員ら証言


 社会保険は70歳以上の人を除けば、健康保険と厚生年金保険をセットで加入するわけですから、不正に遡って資格を喪失する”遡及脱退”をすれば、年金記録はもちろん、医療費にも影響は及んできます。

 健康保険の場合は被保険者が3割負担、保険者が7割の負担となりますが、被保険者資格を喪失したら、健康保険自体は無資格となります。(本来は国民健康保険に加入し、3割負担することになります)

 無資格であれば、全額負担=10割負担となるわけですが、遡って不正に脱退させていたのを被保険者に不正が発覚しないように、診療報酬明細書(レセプト)を抜き取っていたことが、職員らの証言で分かったそうです。

 残念ながら、こうしたことは”あうんの呼吸””慣行”だったとのことですが、不正に遡及脱退をしたことの辻褄を合わせるにはレセプトまでてを加えなければ書類上は合わなくなるわけですから、こういうニュースが出れば、そうなのだろうということになってしまいます。

 国民皆保険でありながら、保険料を払えずに無保険者がいる状態、医療制度に健康保険(健保組合も含む)、国民健康保険があり、職業によって加入する制度が違う体系、遡及で処理をした場合に保険料や年金の額に変動が出てくることなど、現行制度の善悪はともかく、しくみが複雑化すると、どうしてもいろいろと問題が出てきてしまいます。

 不正ももちろんいけないのですが、医療、年金と生活に密着した制度ですから、誰でもわかるような制度でなければなりませんし、会社の保険料削減のため、社会保険事務所の保険料の徴収率を上げるために被保険者が知らないところで勝手に資格が喪失されていたなどということはあってはならないことです。

【記事】

 年金改ざん レセプト抜き隠ぺい 無資格者に医療費

 厚生年金をさかのぼって脱退させる不正な「遡及(そきゅう)脱退」を隠すため、各地の社会保険事務所が無資格者となった被保険者の診療報酬を政府管掌健康保険から肩代わりした上、不正が発覚しないように該当する診療報酬明細書(レセプト)を抜き取っていたことが、職員らの証言で分かった。年金保険制度のみならず、医療保険制度もゆがめてきた実態が明らかになった。

 中小企業が厚生年金を脱退した場合、被保険者の社員は政府管掌健康保険もぬけることになる。脱退時にさかのぼって国民健康保険に加入しなければ、この期間は無資格受診となる。

 総務省年金記録確認第三者委員会が社保事務所の処理で不適正と断定した66件(8日現在)のうち、17件は標準報酬月額(給与水準)の引き下げ、50件(1件は重複)は遡及脱退だった。50人は1カ月〜2年さかのぼって脱退させられ、ほとんどの人はこの間の診察は無資格受診となっていた。

 社保庁の調査では標準報酬月額の記録改ざんの恐れのある記録は延べ約144万件に上ることから、遡及脱退も相当数に上るとみられる。

 この遡及期間中、社員は健康保険証を使って受診しているため、社保事務所は本来なら無資格受診だったとして、病院側に診療報酬の返還を求めた上、社員が全額負担しなければならなかった。だが職員らによると、多くの経営者は社員に脱退を知らせず、社保事務所も不正の発覚を恐れて病院側に返還請求をしなかったという。

 さらに、病院から送られるレセプトに保険受診の記録が残るため、該当するレセプトを抜き取った上で別管理し、発覚を防いでいた。レセプトが電子化された02年度より前はこうした不正操作が容易にできたという。

 複数の職員や元職員は毎日新聞の取材に「徴収担当者から保険給付やレセプト点検の担当者に『徴収絡みだから』と伝え、点検時に抜いてもらった。抜いたレセプトは滞納処分票に挟むなど別管理にした。事務所で月に1、2件このような処理をしていた。診療報酬の返納を求めると不正処理が発覚するし、被保険者に気の毒。慣行だった」などと証言した。

 社保庁年金保険課は「不正については聞いたことがないが、問題が顕在化すれば個別に対応、調査しなければならない」と話している。

 ◇ことば レセプト

 医療機関が保険者(政府管掌健康保険の場合は社会保険庁)に対し、患者の自己負担分以外の診療報酬を請求するために提出する投薬や診療の内容を記した明細書。中小企業は独自に組合を運営・維持できないため、政府管掌健康保険に加入し、レセプトは医療機関から社会保険診療報酬支払基金に送られ1次審査され、その後、社保事務所が診療が適切かや資格を点検(2次審査)する。政府管掌健康保険は10月1日、社保庁から独立する形で全国健康保険協会管掌健康保険に移行した。

    (10月18日 毎日新聞)

【記事】

 社保事務所が健保資格喪失で隠蔽工作…元職員ら証言

 厚生年金の記録改ざん問題を巡り、対象になった事業所の従業員本人に不正が発覚しないようにするため、各地の社会保険事務所が隠蔽(いんぺい)工作を行っていた実態が、元職員らの証言で明らかになった。

 厚生年金から違法に脱退させられた従業員は、政府管掌健康保険の加入資格も同時に失うが、社保事務所で年金と健保の担当者同士が示し合わせ、健保の資格喪失に関する連絡が本人に行かないようにしていた。改ざんが組織ぐるみで行われていたことが裏付けられた形だ。

 改ざんには、従業員が実際には働いていたのに、過去にさかのぼって制度から脱退していたことにするなどの手口がある。滞納を減らし徴収実績を高く見せかける目的で、社保事務所の職員が事業主に虚偽の届け出を促す場合がある。

 厚生年金を脱退させられた従業員と家族は、中小零細企業向けの政管健保(今月から「全国健康保険協会管掌健康保険」に移行)の加入資格も失う。本来は医療機関を受診する際、自己負担(現行は現役世代で3割)を除く部分の医療費が政管健保から給付されるが、こうした手口だとすでに診療を受けた分が「無資格」扱いとなり、本人が医療費を社会保険庁に返還しなければならない。

 この点について、関西の社保事務所の元職員は「改ざんが本人にばれるといけないので、返還請求を出さないようにしていた」と話す。政管健保を担当していた1980年ごろ、保険料の担当者から「この会社は(医療費を)点検しないでほしい」とたびたび依頼され、その都度、本人に請求せずに済ませたという。

 社保事務所が保管する、医療機関発行の診療報酬明細書(レセプト)については、発覚を防ぐため該当者分を抜き取って別の場所に移すなどしていた。この元職員は「社保事務所長も保険料徴収の経験者で、こうした事務処理の実態を知っていた」と話す。

 東京都内の元職員も「この事業所は『徴収絡み』だ、と保険料徴収担当者が健保の担当者に声をかけると、あうんの呼吸で返還請求しないことになっていた」と認める。関東地方の別の現役職員も隠蔽工作があったことを認め、「そうしないと本人が社保事務所に文句を言いに来る」と話す。

 社保庁は「そのような事実関係は把握していない」(適用・徴収対策室)としている。

   (10月18日 読売新聞)



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posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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