2008年10月04日

消された年金、厚生年金改竄143万9千件、標準報酬の5等級以上引き下げ75万件


 標準報酬月額の改ざんで、社会保険庁が関与した件数の発表された数字が当初の1件から6万9千件になり、それが今度は”延べ143万9000件”。

 143万9000件というのは、下記の3つの要件に一つでも該当した場合の延べの数字であり、単純に合計したものであるので、該当しても必ずしも改ざんとは限らないものも含まれているのでしょうが、この数字は異常な数字。しかもコンピューター化された1986年以降のもの。

 逆に、以下の3要件に該当しなくても、改ざんされているものもある可能性も否定はできません。(例えば標準報酬月額が5等級以上ではなくても、4等級引き下げられているものでも改ざんはあり得るでしょう。)

 改ざんが疑わしい3つの要件とは、

@標準報酬月額を引き下げる処理と、加入者を年金制度から脱退させる処理が、同日かその翌日に行われている … 15万6000件

A標準報酬月額が5等級以上引き下げられている(5等級引き下げの場合、最大15万円引き下げ) … 75万件

B6か月以上さかのぼって後から標準報酬月額が引き下げられている … 53万3000件


 そして@、A、Bの全てに該当するのが6万9千件

 @、A、Bを単純に合計した延べ件数が143万9千件ということですが、正確な改ざん件数は依然不明ということです。
 

 社会保険庁の国民に対する謝罪もなく、単に「調査中だから」というばかり。

 確かに社会保険料支払いの苦しい会社が生き延びることにはなりましたが、不正が横行すれば、制度自体は崩壊しているも同じ。会社の保険料負担減と社会保険事務所の納付率アップという利害が一致したということです。

 改ざんで年金額が減らされた人はもちろん、真面目に保険料を納付している人に対しても、信頼を裏切る行為であり、このような年金に関するニュースがずっと流されている国民は、年金など信頼できるはずはありません。それでも将来のために、保険料を納付しているのです。

 厚生年金の標準報酬月額などの改ざんに関与した職員を後継組織である「日本年金機構」に採用しないような提案もあるようですが、組織の名前だけ変えても、中身が変わらなければ何の意味もないことです。

 約2万人について、社会保険事務所職員が戸別訪問といっても、問い合わせが多くて混雑している社会保険事務所、しかも減少している社保庁職員、限られた時間の中で、そんな余裕があるのでしょうか?

 ”消えた年金”問題も「最後の一人まで払う」という公約でしたが、もはやこうなってしまっては、”消えた年金”も”消された年金”も、最後の一人まで正確になどというのは不可能。見苦しいし、時間と経費の無駄。年金制度自体がもはや信用されていないですし、潔くはないですが、カネで解決してくれたほうがよいという意見が出てくるのも必然的になってきます。

 まずは、被害者の権利回復が大切になってきますが、高齢者は待ってくれません。徹底調査、責任追及、再発防止を急がなければなりません。

【記事】

 年金改ざん100万件超か、厚労相「大幅増の可能性」

 舛添厚生労働相は3日の閣議後の記者会見で、厚生年金の記録改ざん問題に関連し、これまで改ざんの疑いが濃厚としていた6万9000件以外にも、改ざんの疑いのある記録の件数が大幅に増えるとの見通しを明らかにした。

 総数は100万件超となる可能性が出てきた。

 厚労相はこれまで、社会保険庁のオンラインシステムで管理されている1億5000万件のうち、〈1〉加入者の月収の記録である「標準報酬月額」(9万8000円〜62万円まで30等級で示す)を引き下げる処理と、加入者を年金制度から脱退させる処理が、同日かその翌日に行われている〈2〉標準報酬月額が5等級以上引き下げられている(5等級引き下げの場合、最大15万円引き下げ)〈3〉6か月以上さかのぼって後から標準報酬月額が引き下げられている−− の3条件すべてに該当する6万9000件が改ざんの疑いが濃いと説明してきた。

 しかし、厚労相は3日の記者会見で、「三つの条件全部を満たさなくても、改ざんの可能性はある」と明言し、それぞれに該当する件数が、〈1〉15万6000件〈2〉75万件〈3〉53万3000件−−あったことを明らかにした。

 延べ143万9000件になる計算だ。社保庁が公表した3条件すべてに当てはまる6万9000件と、社保庁が「件数は把握していない」とする2条件に当てはまる重複分を差し引く必要があるが、100万件超の記録改ざんが行われた可能性がある。

 厚労相は今後の対応策として、厚労省のホームページを利用し、社保庁職員や事業主らから、改ざんに関する情報提供も求めることを明らかにした。改ざんによる被害者の救済に関しては、今月中旬以降、記録の改ざんが濃厚な年金受給者約2万人について、社会保険事務所職員が戸別訪問して、記録確認を行うとしている。また、来年4月以降に、現役の加入者についても、標準報酬月額を記載した「ねんきん定期便」を送付し、確認を求める。

 厚生年金記録改ざんは事業主にとって、本来納めるべき保険料が安くなり負担が軽くなるため、経営難などの際に行われる事例が指摘されている。一方、社会保険事務所は、滞納してきた事業所が記録改ざんによる保険料負担軽減によって保険料を納めることになれば、滞納額が減り、徴収成績を高く見せかけることができるため、職員が事業主に改ざんを指導していたとの証言もある。

   (10月3日 読売新聞)

【記事】

 厚生年金改竄 標準報酬の5等級以上引き下げは75万件

 厚生年金保険料の算定基礎となる標準報酬月額(月給)の改竄(かいざん)問題について、社会保険庁は3日、厚生年金の全記録約1億5000万件のうち、標準報酬が5等級以上も大幅引き下げられている記録が約75万件に上っていることを発表した。このほか、標準報酬月額の引き下げ処理がされた同日か翌日に、厚生年金からの脱退処理も行われていた記録が約15万6000件、半年以上さかのぼって月額が下げられていた記録は約53万3000件だった。

 3条件のうち1つでも当てはまる記録を単純合計すると、約143万9000件となる。ただ、社保庁によると、これらの件数には会社側の変更届の提出漏れなどの単純ミスを修正したケースや、実際に標準報酬月額が下がったなど事実通りに処理された記録も含まれており、「すべてに改竄された疑いがあるわけではない」と説明している。

 改竄の疑いのある記録について、社保庁は9月に、今回件数を発表した3条件すべてに該当する約6万9000件が「改竄された疑いが強い記録」と発表。今回は、それぞれの条件ごとの件数を、内訳として抽出した。

 一方、社保庁は約6万9000件のうち、受給者分約2万件については、今月中旬から順次、職員が対象者の自宅を戸別訪問し、直接確認することも発表した。

   (10月3日 産経新聞)



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posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 13:02| Comment(2) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
標準報酬の改ざんを社会保険事務所と事業主との仲立ちとなり、やっていた士業は何士業ですか?
社会保険労務士の先生方ですよ。
おそらく、貴殿の回りの社労士さんもいるはずです。とくにベテラン社労士さんが多いと思います。
Posted by クリリン at 2008年10月04日 20:31
クリリンさん、コメントありがとうございます。

標準報酬を下げて社会保険を継続しようというお客様はウチにはいないので、そういう現場に立ち会ったことがないのでわかりませんが、そのような社労士がいたとすれば残念です。
また、社労士が標準報酬の改ざんを社保事務所と事業主の仲立ちとなって普通にやっているのだと世間的に思われているのだとすれば、それも残念です。
個人的には、社労士が役所に不正を働きかけようとした場合、自らの資格保有についても立場上危うくなるのではないかと思いますし、リスクは大きいように思います。仮に事業主からそのような申し出があったとしたら、「当事務所ではできません」みたいなことを言うのが多いのではないかと思います。他の事務所のことはなかなかホンネを教えてくれないのでわかりませんが。
Posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 2008年10月05日 03:19
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