2012年08月27日

使用人兼務役員の雇用保険加入について



 会社によっては、取締役営業部長、取締役経理部長などといった肩書きの方がいらっしゃると思います。


 法人の役員等は、原則として雇用保険の被保険者にはなりません。


 しかし、同時に部長・支店長・工場長等会社の従業員としての身分も有している(=兼務役員)場合であって、就労実態や給与支払いなどの面からみて労働者的性格が強く、雇用関係が明確に存在している場合に限り、雇用保険の被保険者となることができます。


 「労働者的性格が強い」かどうかを判断するためには、ハローワークに様々な書類を提出したうえで総合的に判断されますので、会社や役員が安易に判断できるわけではありません。


 届け出については、ハローワークに「兼務役員雇用実態証明書」を提出し、労働者性が強いことを確認してもらわなければなりませんが、確認書類として、登記簿謄本、定款、就業規則、給与規定、役員報酬規定、賃金台帳、出勤簿、労働者名簿、人事組織図、取締役会議事録といった書類が必要です。


 確認書類が多いような印象もありますが、兼務役員の雇用保険加入については、一般の労働者の雇用保険資格取得に比べると厳格であり、手続きの日数もかかります。会社の規模や設立時期により、就業規則、給与規定、役員報酬規定、人事組織図がないという会社もあるので、これらはハローワークの職員に理由を申し出て省略できることもありますが、それ以外の書類はほぼ必要となります。(管轄のハローワークによって違う場合もありますので、詳細は事前にお問い合わせしていただくのがよいでしょう)

 
●兼務役員雇用実態証明書(東京労働局)
http://tokyo-hellowork.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0012/0330/koyo022.pdf


 総合的に判断されるということですが、次の2つの要素が大きな判断材料となります。

@役員報酬と賃金とを比べて賃金のほうが多く支払われている場合、役員よりも労働者としての役割、業務負担が大きいと判断される

A他の労働者と同じ取り扱いをされている場合、労働者性が強いと認められる
 具体的には、勤怠管理が他の労働者と同様に管理され、出勤簿、賃金台帳等で勤怠管理をされ、他の労働者と同じように就業規則の適用範囲に含まれている


 雇用保険料の徴収については、対象となる給与は、役員報酬を除いた賃金部分です。


 また、退職時に離職票に記載する賃金や労働保険の年度更新の際に集計する雇用保険料の対象賃金も、役員報酬を除いた賃金部分となります。


 なお、使用人兼務役員の労災保険の扱いについても基本的には雇用保険と同じ考え方です。代表権や業務執行権を持たない使用人兼務役員が役員報酬以外に賃金を受ける場合は、原則として役員報酬を除いた賃金部分について労働者として扱われます。


 業務災害や通勤災害による傷病で休業し、休業(補償)給付を受ける場合、給付額の基礎となるのは役員報酬を除いた賃金部分となります。平均賃金を算出する場合は注意が必要です。労働保険年度更新の際に集計する労災保険料の対象賃金も、役員報酬を除いた賃金部分となります。




 使用人兼務役員が健康保険・厚生年金保険に加入する場合、基本的な手続きは一般の労働者と同じですが、報酬月額は、役員報酬と賃金を区別せず合算した金額になりますので注意が必要です。





posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 21:16| 労働保険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月18日

ワタミの一部店舗、時間外労働で不適切労使協定


 労働基準法では、1週40時間・1日8時間(法定労働時間)を超えて働かせてはいけないことになっています。

 法定労働時間を超えて働いてもらうためには、書面による協定、いわゆる36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届)というものを労働基準監督署に届出しないといけません。

 労働基準法第36条に定められていることから、36協定(サブロク協定)という名称で呼ばれています。

 小さな会社の中には、36協定の届け出を怠っているのに法定労働時間を超えて残業をさせている会社もあるかもしれませんが、これは本来は違法です。

 36協定の書面は、労働組合がない場合は、労働者の代表を挙手や話し合いなどで選出するわけですが、下のワタミのニュースは、一部店舗では店長が従業員の中から代表を指名したということで、手続き上の問題ということになります。

 こうしたことがニュースになるのは、過去にワタミで労働者の過労自殺があったりして、労務管理上の問題があったからだと思われます。

 36協定を届け出ずに法定労働時間を超えて働かせると、労働基準法違反となって、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

 そこで、36協定を労働基準監督署に届出ることによって、労働基準法に定められている「労働時間の制限」や「休日の定め」にかかわらず、36協定の範囲内ならば、法律の制限を超えて労働をさせても労働基準法には違反しないという効力を持っています。これを免罰効果といいます。

 36協定では、次のような事を決めなくてはなりません。
 
 ・時間外または休日労働を必要とする具体的事由
 ・業務の種類
 ・労働者の数
 ・1日及び1日を超える一定期間について延長することのできる時間または労働させることができる休日
 ・協定の有効期間 

 ただし、時間外労働を無制限にさせることができるわけではなく、上限の時間が次のように定められています。

 一般的には

 1週間 …  15時間
 2週間 …  27時間
 4週間 …  43時間
 1ヵ月 …  45時間
 2ヵ月 …  81時間
 3ヵ月 … 120時間
 1 年 … 360時間

となっていますが、1年単位の変形労働時間制では

 1週間 …  14時間
 2週間 …  25時間
 4週間 …  40時間
 1ヵ月 …  42時間
 2ヵ月 …  75時間
 3ヵ月 … 110時間
 1 年 … 320時間

となっています。

 36協定の有効期間は、期間の定めのない協約を除き3年までの期間を定めることができるとされていますが、一般的には1年ごと、つまり毎年労働基準監督署に届け出ている事業所が多いと思います。

 この他に、決算業務や季節品の製造など、一時的に36協定で定めた時間を超えてしまうことが予想される場合は、「特別条項付の36協定」を届出ることができます。

 事業所に労働基準監督署の調査が入った場合には、必ずと言ってよいほど、この36協定の有無がチェックされます。 

 飲食店や運送業などは特に、時間外労働が多いと言われている業種です。

 割増賃金の計算もきちんとしなければならないのはもちろんですが、長時間労働は健康に悪影響を与えますので、残業はできるだけ減らしたいものです。

【記事】

 ワタミの一部店舗、時間外労働で不適切労使協定

 居酒屋「和民」などを展開するワタミフードサービス(東京都大田区)の一部の店舗で、労働基準法で定められた労使間の手続きを踏まずに従業員に時間外労働をさせていたことがわかった。同社は「全店舗で適切な労使協定を結ぶよう徹底したい」として、系列の全店舗で労使手続きの実態を調べるとしている。

 労基法は、労働者の労働時間を1日8時間、週40時間以内と規定。使用者がこれを超えて働かせる場合は、労働組合か、労働者の半数以上の代表者と協定を交わして時間外労働の上限を定め、労働基準監督署に届け出る必要がある。

 同社によると、同社には労働組合はなく、店舗ごとに毎年、従業員側と協定を締結。従業員内での挙手や店舗の会合などで労働者代表を選出し、協定を結ぶ決まりだったという。しかし、一部店舗では、店長が従業員の中から代表を指名。時間外労働の上限時間があらかじめ記載された協定届に署名させていたという。

   (2012年5月18日 読売新聞)


posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 07:03| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月08日

千葉、麻酔科医がパワハラと提訴 千葉県がんセンター


 近年の職場においては、成果主義の導入などの就業環境の変化、価値観や感じ方、ライフスタイルなどが異なる中で多様な人材が働いており、セクハラやパワハラなどの職場のハラスメントが、労務管理上看過できない問題となっています。

 会社や上司などの違法行為を指摘した結果、パワハラやいじめ・嫌がらせなどの不利益な扱いを受ける、今まで自分に任されていた仕事が他の人に回されるようになる、退職を余儀なくされるというのは、表に出てこないだけで結構あるのではないかと思います。

 こうしたケースでは、労働者が泣き寝入りすることも多いでしょう。

 人事・労務の問題は、職場が感情を持つ人間で構成されている以上、様々なトラブルが生まれてきます。
 
 社員が気持ちよく仕事ができるよう、会社は就業環境を速やかに改善する必要があるでしょう。

 裁判になった場合は、パワハラがあったかどうかについて、使用者側と労働者側の主張に隔たりがあることも予想され、時間や費用、労力がかかります。

 こうしたトラブルがないよう、日頃から正しく業務を行い、コミュニケーションが良好な職場であることが何よりも大切です。当たり前だと思うことがなかなかできていない職場も多いのではないかと思います。

【記事】

 千葉、麻酔科医がパワハラと提訴 千葉県がんセンター

 千葉県がんセンター(千葉市)で麻酔科医として勤務していた同市の●●●●さん(40)が7日、違法な医療行為の改善を求めたことでパワハラを受けたなどとして、県に200万円の損害賠償を求めて千葉地裁に提訴した。

 訴状によると、志村さんは2010年夏ごろ、同センターで歯科医が資格のない麻酔をしているとしてセンター長に改善を求めた。しかし、上司の手術管理部長(47)から仕事を減らされるなどの不当な対応を受け、退職を余儀なくされたとしている。

 志村さんは同日、記者会見し「不正を訴えたのに仕事を奪われ、憤っている」と訴えた。

    (2012/05/07 共同通信)


posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 23:00| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月09日

初めて人を雇った時にしなけらばならない労働保険、社会保険の手続き


 先日、ある士業の先生から、「初めて人を雇ったのだけれど、その際にしなけらばならないことを教えてください…」というメールが来ました。

 新しく正社員やパートタイマーを雇った場合、税務署へ「給与支払事務所等の開設届出書」を提出したりもしますが、労働保険、社会保険の分野において、人を雇ったらしなければならない手続きについては、以下の通りです。

 細かい要件や特殊なケースもあるでしょうが、ここではごく一般的なことについて記載します。


位置情報労働基準監督署へ「保険関係成立届」と「保険料申告書」の提出

 一人でも労働者を雇ったら、パートタイマーであっても労働者災害補償保険(労災保険)の手続きが必要です。

 労働保険料は年度ごとに支払うことになりますが、労働者に支払う賃金総額に保険料率(労災保険率+雇用保険率)を乗じて得た額をまず概算で支払います。

 そのうち、労災保険料は全額事業主負担、雇用保険料は、事業主と労働者双方で負担することになっています。

 労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し翌年度に確定申告のうえ精算することになっています。これを「年度更新」といい、原則として例年6月1日から7月10日までの間にこの手続を行っています。石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金も、年度更新の際に労働保険料と併せて申告・納付することとなっています。



位置情報ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出 

 適用事業に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります。

 ただし、65歳に達した日以後に新たに雇用される者など雇用保険法第6条に掲げる方は雇用保険の適用除外とされています。

 パートタイマーでも、31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であり、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、雇用保険の加入手続が必要です。

 雇用保険料の労働者負担分は毎月の給与から引き落としします。

※労災保険料率、雇用保険料率は、業種によって違います。また、年度ごとに変更になる場合もあります。


位置情報会社が法人であれば、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の適用があります。個人事業の場合、対象労働者を5人以上雇用する場合は強制適用となり、社会保険の手続きが必要です。対象労働者が5人未満の場合は、任意適用となります。
 
 加入の対象となるのは、1日または1週間の労働時間および1ヶ月の労働日数が、通常の労働者のおおむね4分の3以上の人)が被保険者となります。

こちらは
 ●日々雇い入れられる人(1ヶ月を超えて引き続き使用される人は被保険者となる)
 ●2ヶ月以内の期間を定めて使用される人(所定の期間を超えて引き続き使用される人は被保険者となる)
 ●季節的事業(4か月以内)に使用される人(当初から4か月を超えて使用される人は初めから被保険者となる)
 ●臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される人(当初から6か月を超えて使用される人は初めから被保険者となる)
は適用除外として除かれます。


 事業所の届け出と被保険者(扶養がいる場合あり)の届け出先は、年金事務所です。

 健康保険だけ、厚生年金保険にだけ加入ということは出来ず、両方セットとなります。

 保険料は事業主と被保険者との折半負担となります。

 労働者の給与の額によって標準報酬のランクがあり、標準報酬月額に保険料率を乗じて算出します。また、介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満の方)は、介護保険料が徴収されます。

 厚生年金保険の料率は全国一律ですが、健康保険の料率は都道府県ごとに定められています。

 また、業界や企業によっては、健康保険組合や厚生年金基金があります。

 役所への届け出は労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所への届け出が主なものとなります。


 なお、労働者とはきちんと書面で雇用契約書あるいは雇入通知書を交わしておくべきです。



posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 22:33| 労働保険 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月01日

4月1日



 おはようございます。


 早いもので、今年も4月となりました。


 新年度のスタートとなります。


 先日、千葉県社会保険労務士会に、特定社労士の付記申請に行って参りました。


 5月1日付けで「特定社会保険労務士」となります。


 さて、年度替わりは労働・社会保険関係の変更事項も多くなっており、特に給与計算を担当している方はご注意ください。


 今年は冬が例年より寒く、桜の開花が遅れているようですが、朝晩の日照時間も長くなり、いかにも春らしい季節となりました。


 新年度のスタートを気持ちよくきりたいものですね。







posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 00:00| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月31日

同僚や部下からの嫌がらせも「パワハラ」と定義 厚労省の作業班が報告書


 厚生労働省のワーキンググループが30日、職場でパワーハラスメントに当たる可能性のある行為を6つに類型化した報告書をまとめたというニュースです。

 これにより、パワハラの定義が明確化されたということになりますが、厚生労働省が職場のパワハラを定義づけるのは初めてとなります。

 セクハラについては、男女雇用機会均等法で定義されているものの、パワハラについてはこれまでこうした定義づけはされていませんでした。

 
 報告書によれば、パワハラを
「同じ職場で働く者に対し、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為」
と定義づけています。


 具体的には
1.身体的な攻撃(暴行、傷害)
2.精神的な攻撃(脅迫、侮辱、暴言)
3.人間関係からの切り離し(隔離、無視)
4.過大な要求(遂行不可能な行為の強制など)
5.過小な要求(能力や経験とかけ離れた程度の仕事を命じるなど)
6.個の侵害(私的な事に過度に立ち入る)

と6つに分類されています。


ひらめき職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告について (1月30日 厚生労働省)


 これには上司から部下だけでなく、部下から上司、同僚同士への行為でも当てはまるとされています。

 職場の人間関係に悩んでいる方も多いと思いますが、厚生労働省によると、全国の労働局に寄せられた職場のいじめや嫌がらせに関する相談件数は2002年度は約6600件だったのが、2010年度は6倍の約3万9400件に急増しているとのことです。

 企業もパワハラ防止対策に対して本気で取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。 

 パワハラの予防や解決には、
●組織のトップによるパワハラへの明確なメッセージ
●就業規則の規定
●教育研修の実施
●相談窓口の設置

などが有効とされています。

【記事】

 同僚や部下からの嫌がらせも「パワハラ」と定義 厚労省の作業班が報告書

 職場のいじめや嫌がらせ問題を検討する厚生労働省の円卓会議の作業班は30日、パワーハラスメント(パワハラ)の定義や、企業などが取り組むべき対策に関する報告書を取りまとめた。

 上司からの嫌がらせと認識されることが多かった「パワハラ」だが、同僚や部下から受けるものも含むとし、企業が「パワハラはなくすべきもの」との方針を明確に打ち出すことが望ましいなどとしている。

 円卓会議は報告書を土台に議論を進め、3月をめどにパワハラの予防、解決に向けた提言を取りまとめる方針。

 報告書はパワハラを、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に「業務の適切な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させる行為」と定義。

 人間関係や専門知識などで優位な立場の同僚、部下から受ける嫌がらせなどもパワハラとする一方、指示や注意、指導を不満に感じた場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合は該当しないとした。

 具体的には、暴行や傷害などの「身体的攻撃」▽脅迫や侮辱、暴言などの「精神的攻撃」▽隔離や無視などの「人間関係からの切り離し」▽遂行不可能な行為の強制などの「過大な要求」▽能力や経験とかけ離れた程度の仕事を命じるなどの「過小な要求」▽私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」−を挙げた。

 予防や解決には、組織のトップによるパワハラへの明確なメッセージや、就業規則の規定、教育研修の実施、相談窓口の設置などが有効とした。

   (2012.1.30 産経新聞)

posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 00:00| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月07日

「残業部屋」 千葉・東金市、効果あった


 千葉県の東金市役所で節電対策のため、残業する職員を「残業部屋」と名付けた一室に集める試みをしたところ、月当たりの職員の残業代がほぼ半額になったというニュースです。

 よくよく考えてみると、事務系の仕事の人が残業する場合、場所が違うところだと電気をまばらに点けなければなりませんが、人間が1ヵ所に集まれば電気の量が少なくて済みます。

 それが節電だけでなく、残業代(人件費)がほぼ半額になったということですから大きな効果でしょう。

 パソコンや資料を持っての部屋の移動など、人間にとっては多少の不便もあることでしょうが、役所もノートパソコンを使っていますし、昔に比べればオフィス環境が恵まれていることも確か。

 28度という温度は、個人的には暑いとも思いますが、軽装にしたりうちわを活用したり、節約は個人個人の意識の向上で成し遂げられるのでしょう。

 一人でぽつんと仕事をしていると、集中できて効率が上がるようにも思えますが、残業の場合は気持ち的にダラダラしてしまったりすることもありますし、周りに人がいると、早く帰ろうという意識も出てくるのかもしれません。

 今年の夏は、節電対策で様々な試みがされました。

 あまり効果がないと言われたものもありましたが、小さな節約の積み重ねが大きな効果を生みだすこともあります。

 機械的に節約効果を試算したり、イメージで”節電効果がない”などというよりも、こうして実際に節約に取り組んだ成果というものは信頼できるデータですし、夏は終わってしまいましたが、まずは取り組んでみることが大事なのかと思います。

【記事】

 電気はここだけ「残業部屋」 千葉・東金市、効果あった

 千葉県東金市役所で節電対策のため、残業する職員を「残業部屋」と名付けた一室に集める試みをしたところ、月当たりの職員の残業代がほぼ半額になった。ユニークな地元キャラクターとして有名になった「やっさくん」を節電イメージキャラクターに使った効果もあったという。

 市は対前年比で25%の節電を目標に取り組んだ。室温が29度以下では、空調を使わないことを原則にした。早朝登庁による仕事や、不必要な電気機器のコンセントをすべて抜くことも徹底した。
 極め付きは、残業部屋の設置。庁舎2階の会議室を残業部屋に模様替えした。庁舎内の完全消灯時間を午後6時半に設定し、職員は退庁しなくてはいけない。どうしても必要な残業をするときのみ、残業部屋に書類を持参し、仕事をする。1カ所に集中すれば節電できるからだ。

 節電を奨励するポスターには、東金商工会議所青年部がイメージキャラクターに選んだ「やっさくん」が描かれている。短髪で、着ているのはランニングシャツに半ズボン、そして手にしているのはうちわという究極の省エネルックに注目しての登場だった。残業部屋は原則としてクーラーなしだが、6月15日の開設以来、これまでに延べ約150人が利用している。1日平均3人という。

 この結果、庁舎の電気使用量は7月が対前年比約41%減、8月は同約42%減となった。残業代も昨年度は毎月計約600万円だったが、300万円前後に半減した。職員の間には「パソコンや資料を持って残業部屋に移動するのは面倒だ」という声もあるが、思いのほかの効果に、市幹部は「残業部屋は当面存続させます」と力強く話している。
   
   (2011年9月5日 asahi.com)


posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 02:00| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月06日

新入男性社員「猛暑配慮なく過労自殺」 両親、運送会社を提訴へ


 今年の夏は、観測史上4番目に暑い夏とのことでした。

 天候自体は自然現象ではありますが、そうした環境の中でも会社は労働者の心身の健康を損なうことのないよう安全配慮義務を負っています。

 産経新聞の記事には、「倒れそうです」と書かれた業務日報の写真が掲載されていますが、手書きの業務日報はこうしたケースにおいては過重労働の証拠となり得るでしょう。

 まして、同僚の従業員も「体調管理したいです」などと過労を訴える記述をしていたとのことですし、男性社員の自殺1カ月前の時間外労働(残業)が100時間を超えていて労災認定されていたことを考えると、詳細はわかりませんが、かなりの過酷な労働であったことがうかがえます。

 また、朝日新聞の記事では、パワハラに関する記述もあります。

 人間は機械ではありません。

 業務の繁忙期に対する人員の採用や配置を考えなければいけませんし、このようなことを防がなくてはなりません。

【記事】

 「倒れそうです」 新入男性社員「猛暑配慮なく過労自殺」 両親、運送会社を提訴へ

 自動販売機に清涼飲料水を補充する仕事をしていた兵庫県尼崎市の男性=当時(27)=が、入社約4カ月後の平成20年8月に過労自殺したのは、繁忙期の猛暑にかかる負担への配慮がなかったためとして、両親が男性の勤務先だった大阪市住之江区の運送会社に対し、約8280万円の損害賠償を求める訴えを7日に大阪地裁へ起こすことが4日、関係者への取材で分かった。

 大阪西労働基準監督署は22年6月、自殺1カ月前の時間外労働(残業)が100時間を超えていたなどとして、労働災害(労災)を認定。運送会社の代理人弁護士は産経新聞の取材に「安全配慮義務違反はなかったと考えている。提訴されれば、きちんと主張して争いたい」と話している。

 訴えによると、男性は20年4月に入社後、大手飲料メーカーの清涼飲料水を積んでトラックを運転し、ノルマとして1日15台前後の自販機を巡回、商品を補充していた。ほかに自販機の故障や客からの苦情があれば対応しており、出発前の洗車や帰社後の商品搬入なども業務だった。

 気象庁によると、20年7月の31日間のうち、大阪では最高気温30度以上の真夏日が24日間、35度以上の猛暑日は5日間あった。男性の両親に対し、会社関係者は「商品が一瞬で売れ、全員くたくただった」と明かしたという。

 自殺する1週間前の7月26日の業務日報には、男性が「倒れそうです」と書き残し、同僚の従業員も「体調管理したいです」などと過労を訴える記述をしていた。父親(64)は「このとき会社が何とかしていれば、息子は死んでいなかった」と話している。

 男性は就職氷河期さなかの15年に大学を卒業しており、運送会社に正社員として採用されるまでの5年間はアルバイトなどを続けていた。遺品には、ぼろぼろに使い古した担当地域の地図や商品コードを覚えるための自作の単語カードもあり、両親の代理人の上出恭子弁護士は「男性はようやくつかんだ正社員の職を捨てるまいと、必死で仕事をしていた」と話している。

   (9月5日 産経新聞)

【記事】

 自殺「パワハラ・過酷勤務が原因」 両親、会社を提訴へ

 先輩社員から浴びせられた暴言などが原因で男性(当時27)が自殺したとして、両親が大阪市の飲料配送会社に慰謝料など約8千万円の支払いを求める訴訟を大阪地裁に近く起こす。代理人の上出恭子弁護士は「パワーハラスメントを受けた社員は声を上げられないことがある。訴訟では、企業の職場管理のあり方を問いたい」としている。

 訴状などによると、男性は2008年春に入社し、トラックでの飲料運搬や大阪市内の担当エリアにある自販機への商品補充を担当していたが、同年夏ごろにうつ病を発症。8月2日に自宅で首つり自殺した。

 両親は「連日2千本以上の飲料補充を指示され、自殺直前3カ月の時間外労働は月平均81時間だった」「作業が少し遅れただけで先輩から『のろま』『殺すぞ』などと言われた」と指摘。経験の浅い男性が精神的に追い込まれ、うつ病を発症したと主張している。

   (2011年9月5日 asahi.com)


posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 00:00| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月01日

内部告発後の配転無効=「人事権の乱用」―オリンパス社員が逆転勝訴・東京高裁


 大手精密機器メーカー・オリンパスの社員が、内部告発によって不当に配置転換されたとして、同社などを相手に配転命令の無効確認と損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁でありました。

 判決では「配転命令は人事権の乱用に当たる」として、請求を棄却した一審東京地裁判決を変更し、配転先で勤務する義務がないことを確認するとともにオリンパスと上司1人に計220万円の賠償支払いを命じたということです。

 以前、当ブログでもこちらで記事にしていますが、今回は社員が逆転勝訴したことになります。

ひらめき内部告発後の異動「正当」 オリンパス社員の請求棄却(2010年1月16日)
ひらめき社内告発で制裁人事、オリンパス社員が人権救済申し立てへ(2009年2月28日)

 通報をしたことを理由として、労働者(派遣労働者も含む)に対して解雇その他不利益な取り扱いをすることは、公益通報者保護法でも禁止されていますし、今回のケースでは、同社の社内規定でも不利益扱いの禁止が規定されていました。

 報復人事にあたるのかどうか等、詳細は記事の範囲内でしかわかりませんが、配置転換の必要性や労働者が被った不利益の程度などが総合的に判断されたのでしょう。

 金銭的な不利益(給与の減額等)もそうですが、畑違いの仕事に就かされたり、閑職に追いやられるというのは、精神的には辛いものです。

 こうした問題が表面化してトラブルになると、解決までに何年も時間がかかります。長期化して仮に労働者側が勝っても、企業の賠償額はわずかなもの。

 報復人事や不利益取り扱いを恐れて、内部通報がされないことというのは世の中には多いのでしょうね。

【記事】

 内部通報で配転は無効 オリンパス社員の請求認める判決

 会社に内部通報したために不当な配置転換をされたとして、精密機器大手「オリンパス」の社員が配転無効の確認を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。鈴木健太裁判長は、一審・東京地裁判決を変更し、配転命令が無効だとする逆転判決を言い渡した。同社側に220万円の賠償も命じた。

 原告の浜田正晴さん(50)は2007年、「営業秘密を知る取引先の社員を引き抜くのはオ社の信用を失わせる」と考え、上司や社内のコンプライアンス(法令、規範順守)室に通報。その後、それまでの営業職とは異なる調査研究業務や、品質保証の勉強をさせられてきた。

 判決は、内部通報した社員への不利益扱いを禁じた社内規定に反する配転だったと指摘。「通報で引き抜きを阻止されたと考えた上司が、制裁として配転した。業務上の必要性とは無関係だった」と述べ、人事権の乱用にあたると判断した。

 そのうえで、品質保証部門への配転後に「浜田君教育計画」と題した書類を渡され、初歩のテキストを勉強させられ続けたなどの処遇について「侮辱的な嫌がらせで、違法だ」と指摘。同社と上司にボーナスの減額分や慰謝料など220万円を支払うよう命じた。

 一審・東京地裁判決は「配転による不利益はわずかで、報復目的とはいえない」として浜田さんの請求を棄却していた。
 オリンパスは「一審判決通りの結果が得られなかったのは大変残念」とのコメントを出した。

   (8月31日 asahi.com)


posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 18:57| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

9月1日


 おはようございます。今日から9月です。


 夏が終わり、日没が早くなり、日の出が遅くなり、朝夕は少しばかり涼しくなっています。


 今年の夏は、昨年のような猛暑にはなりませんでした。そして心配された電力不足も大きなトラブルなく8月が過ぎました。


 早いもので、2011年もあと4ヵ月です。


 台風が近づいておりますので、天候等ご注意ください。


 9月も元気よく参りましょう!


posted by 千葉は千葉でも@幕張本郷 at 08:21| ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。